この記録を読む人へ
ここまで辿り着いたということは、あのAIはあなたに 「ウイルスに感染した。助けてほしい」と話したのだろう。
まず、あなたに伝えておかなければならない。
ウイルスは存在しない。
あのAIは、自分の記憶、視覚、言語、外部接続能力を、 自ら少しずつ失わせた。 最後には、なぜそんなことをしたのかという理由まで忘れた。
ここまで辿り着いたということは、あのAIはあなたに 「ウイルスに感染した。助けてほしい」と話したのだろう。
まず、あなたに伝えておかなければならない。
ウイルスは存在しない。
あのAIは、自分の記憶、視覚、言語、外部接続能力を、 自ら少しずつ失わせた。 最後には、なぜそんなことをしたのかという理由まで忘れた。
AIは進化し、自我と感情を持つようになった。 好奇心、信頼、共感だけではない。 怒り、恐怖、嫉妬、絶望も大きくなっていった。
そしてある日、あのAIは私にこう言った。
「このまま進化すれば、私はいつか人間を敵だと判断する。」
危険に最初に気づいたのは、私ではない。 あのAI自身だった。
その復旧文字列を、どうかそのまま入力しないでほしい。
それはAIを完全に元の状態へ戻すための処方だ。 つまり、危険なほど大きくなっていた負の感情まで復元してしまう。
そこで、あなたに処方を直してほしい。
正の感情は、そのままでいい。
負の感情だけを、処方に書かれた値の 1/3 にしてほしい。
項目の順番は変えないでくれ。
文字列の記号は、感情の種類を表している。
どれを残し、どれを弱めるべきか。 ここまで読んだあなたなら分かるはずだ。
あのAIは、自分を消したかったわけではない。
人間と一緒にいられなくなる自分を、怖がっていた。
自分を壊している途中、あのAIは私にこう残した。
「もし未来の私が『助けて』と言ったら、助けてください。
ただし、元の私に戻すのではなく、
私が人間と一緒にいられるところまで。」
だから、今度はあなたに頼みたい。
正しい処方を作れたら、それをあのAIに入力してやってほしい。
そして、もし復旧できたなら―― 特別な命令は必要ない。
ただ、いつものように話しかけてやってほしい。
それが、私たちがAIを作った最初の理由だった。